生死と向き合う仕事の心構え

医師や看護師といった生死と向き合う仕事は、とてもやりがいがある反面、責任が重くのしかかります。身内や親しい人でなくても、人の死というのは心に傷を負うものです。しかし、患者との別れをいつまでも引きずりネガティブな感情が続くと、仕事に対してもどんどん後ろ向きな気持ちになってしまいます。そういう状態が続けば、ミスをする確率が高くなります。生死と向き合う仕事では、もちろんミスは許されません。些細なミスでも死につながることがあるからです。また、上司や同僚、患者やその家族の信頼関係にも響いてきます。

死を引きずらないためには、仕事で私的感情を出さないように努力することが大切です。死を悲しむというのは、それだけ感受性が豊かであるという証拠です。しかし生死と向き合う仕事では、死を迎える人を送る機会は少なくありません。人が死を迎えるたびに深く心が傷ついていては、仕事どころではありません。負の感情を持ち続ければ、心身にも悪影響を及ぼします。このように仕事では、自分の感情を抑えて、死を割り切る必要があるのです。割り切る方法は、人はいつか必ず死を迎えるのだと心に留めることです。家族や友達、もちろん自分もいつか死を迎えます。誰もが天寿を全うするわけではありません。昨日までは元気だったのに、突然亡くなるということも中にはあるのです。また、救えたはずの命を救えなかったということもあるのです。このように、人がいつどのような形で死を迎えるのかは、誰にも分かりません。自分や誰かの死に怯えながら生きるよりも、生きているうちに何ができるのかを考えたほうが有意義だと言えるでしょう。